ブロック塀の診断と補強

古いブロック塀の多くが倒壊

屋外の被害で最も甚大だったのがブロック塀の倒壊でした。

古くに作られたブロック塀はかなりの確度で倒壊していました。

本震の日の朝、近所の様子を見て回ったんですが、驚くほどにブロック塀が倒れていたんです。

そして倒れたブロック塀が道路を塞ぎ、地震の片づけは道路に倒壊したブロック塀の撤去から始まったんです。

本震後、電気、水道、ガスのライフラインがストップしました。

何はともあれ水だけは確保しなければと、私は弟と二人で車に乗って自宅から2キロ程離れた湧き水のある神社に水を汲みに行きました。

車であれば10分もかからないところです。

しかし、道中倒れたブロック塀が道路を塞いで通れないんです。

仕方なくあきらめて家に戻りましたが、倒れたブロック塀のあまりの多さにビックリしました。

もちろん倒れていないブロック塀もありました。

実際、我が家も隣の実家もブロック塀は倒れていません。(我が家のブロック塀は一部亀裂が入りました)

倒れているブロック塀は古いブロック塀が多かったですね。

倒れたブロック塀を見ると、鉄筋が入っていない杜撰な造りのブロック塀もありました。

確かに私が子供の頃、ブロック塀は専門の業者が造るのではなく、お父さんの日曜大工として素人が作っていたケースも少なくなかったように記憶しています。

実家のブロック塀も、現在のブロック塀は新築を機に業者が施工しましたが、それ以前のブロック塀は父と伯父が二人で造っていました。

ですから、古いブロック塀は素人が造ったものも少なくないはずです。

鉄筋が入っていないような杜撰なブロック塀はおそらく素人が造ったものなんでしょう。

鉄筋が入っていても倒れていたブロック塀も数多くありました。

その場合は、ブロック塀の根元から倒壊しており、鉄筋も根元から曲がった形で倒れていました。

よく見ると長年の風雪で傷んだのでしょうか、鉄筋はかなり腐食しているようでした。

ブロック塀は道路に倒れただけではありません。

道路側ではなく、隣家との境界に建てられたブロック塀も数多く倒壊し、玄関を壊したり、自動車の上に倒れ掛かっているところも少なくありませんでした。

このブロック塀の倒壊は熊本地震に限った話ではなく、大きな地震に見舞われた場合は日本のあちこちで起こることだと思います。

自分の家のブロック塀が専門業者によって施工されたものであれば、それなりに倒壊の危険は少ないと思います。

しかし、借家や中古住宅を購入している場合は、自宅のブロック塀がどのようにして造られたのかわかりません。

熊本地震の場合は本震が深夜だったので、ブロック塀の倒壊によるケガ人といった話はあまり聞きません。

しかし、地震はいつ何時に襲ってくるかわかりません。

もし、子供たちが通学している時間帯に地震が起こっていたらと思うとゾッとします。

もし、自宅のブロック塀が古いものであれば、ブロック塀の診断を行うことをお勧めします。

 

ブロック塀の診断

見た目での判断としては次のようなことが挙げられます。

・透かしブロック連続使用

・ブロック塀の風化

・ブロック塀の破損

・ブロック塀のひび割れ

・ブロック塀の傾き

・大谷石上のブロック塀

・笠木の壊れや土圧

・鉄筋のむき出し・腐食

こんな症状があると、震災時に転倒や倒壊の恐れがあり、人が死傷したり、 救急活動・物資供給の妨げになります。

しかし、実際にブロック塀がどのような状況にあるかは素人ではなかなか判断がつきません。

建ててから20年以上経過したブロック塀は、表面は何ともなくても、中の鉄筋が錆びたり、セメントが劣化して強度に不足が出てきます。

ですから、専門の業者に診断してもらうのがベストだと思います。

私も知らなかったんですが、「ブロック塀診断士」という資格があるんです。

「ブロック塀診断士」は、既設のブロック塀等の性能評価を行い、地域の行政庁との緊密な連携のもとにブロック塀等の危険個所の 改善の為の指導を行います。

地震・台風におけるブロック塀等の災害を防止することを目的として制定された資格制度です。

ブロック塀を施工する業者にはこの「ブロック塀診断士」がいるようです。

しかし、ブロック塀施工業者はブロック塀を造るのが商売ですから、ブロック塀の作り替えを勧めてくる可能性が高いので、信頼のおける業者にお願いするほうがいいですね。

例えば、家や外構を施工した業者に相談するのが間違いないと思います。

診断料はそんなに高くはありません。

もちろん業者やブロック塀の規模によって値段は違いますが、ある業者のホームページによると、基本料金(塀の長さ10m未満、塀の高さ1.2m未満)で約1万5千円で、あとはブロック塀の長さや高さに応じて追加料金がかかります。

規模の大きなブロック塀でも5万円くらいで済むのではないでしょうか。

 

ブロック塀の補強

ブロック塀の診断でアウトになってしまったら、ブロック塀を造り替えるか補強するしかありません。

造り替えとなると費用がかさみますので、なるべく補強の方向で行きたいものです。

ここは業者と相談するしかありません。

ブロック塀を支える補強工事は、家の敷地内に支えとなるものを設けることで施工できます。

このときは、鋼管(こうかん:鋼の管)を用いて支えるタイプと、ブロックを内側に積み上げるタイプがあります。

 

今回の熊本地震は震度7の前震、本震共に夜間に起こったため、ブロック塀の倒壊で人が亡くなったりケガをしたという話はあまり聞きません。

しかし、地震が発生する時間帯によっては、ブロック塀の倒壊による人身事故が避けられません。

地震でブロック塀が倒壊して人を下敷きにしてしまったら、全ての責任がその家に降りかかります。

熊本地震ではかなりのブロック塀が倒壊しました。

ブロック塀の診断と補強は強くお勧めします。

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