ガソリンは満タンにしておく

熊本地震に被災してわかったことですが、車は簡易的な避難場所になるんです。

今回の地震では家に住めず、車中泊という形で車は大活躍でした。

しかし、車中泊の結果エコノミークラス症候群にかかり亡くなってしまう方もいるなど、厳しい現実もありました。

熊本地震の本震が発生したのは平成28年4月16日の深夜、九州の4月とはいえ夜はまだ肌寒い気候だったんです。

私たちは近所の方々と路上で毛布をかぶって野宿をしましたが、私の父は体が悪くとても路上で過ごすことはできませんでした。

私の父に限らず、年配の方は寒い路上で一夜を過ごすなどとても無理です。

そこで私は父と私の車で過ごすことにしました。

車でしたらシートも倒せますし、エンジンを掛けていればエアコンだって使えます。

私は運転席、父は助手席でシートを倒し、エンジンを掛け暖房を入れて休みました。

余震が酷く、車に乗っていてもかなり揺れましたので私はよく眠れませんでしたが、父は少しは眠れたようです。

ここで少し困ったことがありました。

実はガソリンがあまり入っていなかったんです。

私はガソリンをこまめに入れる方なんですが、家内は結構タンク内のガソリンが少なくならないと給油しないんです。

その当時、家内が頻繁に車を使っていたんです。

ですから、ガソリンの残量はメーターで4分の1以下でした。

一晩はどうにかなるだろうと思い、その日は一晩エンジンを掛けっぱなしにしていました。

 

ガソリンスタンドはどこも開いていない

朝になったらエンジンは切りましたが、さらにガソリンは少なくなっています。

今後の車での移動や車中泊が続く場合の事を考え、とにかく給油しなくてはと思いあちこちのガソリンスタンドを訪ねました。

見事にどのガソリンスタンドも開いていませんでした。

あれだけの大地震があったわけですから当然と言えば当然です。

地震の影響が少なかった遠方の地域まで行けば給油できたのかもしれませんが、どこに行けばガソリンスタンドが開いているかなどの情報がありません。

取りあえずガソリンは節約しながら様子を見ることにしました。

 

車は移動できる避難所

避難所となった近くの小学校は体育館はおろか教室まで人であふれかえりました。

そして運動場は車中泊をする車で一杯だったんです。

ペットがいるご家族は避難所には入れませんし、小さなお子さんがいるご家庭も子供の泣き声などを気にして避難所ではなく車中泊をされました。

学校の運動場だけではなく、公園や空き地などの広い場所も車中泊の車で一杯でした。

車でしたら狭くて不自由ですが、避難所と違ってプライバシーは守られます。

避難所に行ける方でもあえて車中泊を選んだ方が少なくありません。

このように車は非常時の緊急避難場所として活用されたんです。

 

ガソリンは満タンを心掛ける

熊本地震は4月に発生し、朝晩は冷え込みましたが日中は比較的過ごしやすい時期でした。

もし地震が真夏の暑い時期や真冬の寒い時期に発生していたらどうだったでしょう。

とても空調なしでは過ごせなかったはずです。

車なら空調があります。

しかし、ガソリンがないとどうにもならないんです。

特に夏場の冷房はガソリンを余計に食いますし、考えて見て下さい、真夏にエアコンなしで炎天下の車中に居られるわけがありません。

地震対策の面では、車のガソリンは半分になれば満タンを心掛けるなどすれば、いざ大地震で車中泊となった場合安心感があります。

私は被災直後、車のガソリンが少なかったことに随分不安を覚えました。

上述のように地震が発生して数日はガソリンスタンドが開きません。

私の近所は1週間以上ガソリンスタンドが開きませんでした。

ですから、車のガソリンは残量が少なくなってから給油するのではなく、早め早めに満タンにするように心掛けておけば、それだけで地震対策になります。

これも被災して初めてわかった事実です。

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