地震保険には加入した方がよいか

この章ではこれまで地震保険について様々な角度から見てきました。

結論として地震保険に加入した方がよいのでしょうか?

熊本地震に被災した立場からすれば地震保険に加入した方がよいに決まっています。

しかし、全国の地震保険加入率は約29%です。

なぜこんなに少ないかと言えば保険料の高さに尽きると思います。

私も地震保険には加入していませんでした。

なぜなら、熊本には地震など無いと思い込んでいたことに加え地震保険料が高かったからです。

熊本県に地震保険料は全国で最も安いとは言え、木造の非耐火構造である我が家の場合、年間の地震保険料は28,500円になります。(地震保険料については「地震保険の保険料」のページをご参照ください)

保険料は10年間で285,000円にもなり、それをケチってしまったんです。

熊本ならこの保険料で済みますが、東京や静岡だと木造の非耐火構造の場合年間90,750円、10年間では907,500円の負担になります。

これって、結構大きいですよね。

この保険料の高さがネックとなり地震保険の加入率が低迷しているのだと思われます。

もちろん、地震保険に加入するにこしたことはありません。

なにより安心ですから。

しかし、この高額な地震保険に加入するには費用対効果で考える必要があります。

私は熊本地震に被災して、これを機に地震保険に加入するかと言えばそうではありません。

これだけの大地震に見舞われたので今後数十年は大きな地震が起こらないだろうと勝手に考えているからです。

過去を調べると熊本市は1889年(明治22年)、1723年(享保8年)にマグニチュード6以上の大地震に見舞われています。

今回の熊本地震同様、震源は浅く直下型地震でした。

100年以上の周期で熊本には大地震がやってくるんです。

ということは、今回の熊本地震の余震はまだ続くにしても、マグニチュードが6や7の震度7といった規模の熊本地震の前震や本震クラスの大地震は私が生きている間は無いだろうという実に私個人の勝手な解釈です。

地震保険は大地震の前に加入することに意味があり、大地震に被災した後に加入してもあまり意味がないような気がするんです。

もちろん地震保険の加入しておけば安心です。

しかし、地震保険は決して安いものではありませんので私なりの費用対効果を考えて今後地震保険に加入しないことにしました。

しかし、今後大地震に襲われる可能性が高い地域にお住いの場合の場合は、地震保険に加入すべきだと思います。

私が考える地震保険に加入すべき方は次のようなケースです。

 

地震保険に加入するほうが望ましいケース

昔から周期的に大地震に見舞われかなりの期間大地震が発生していない地域

日本は活断層だらけの島国で、世界中の地震の約1割が日本で発生していると言われます。

活断層は周期的に歪みを修復するために縦や横にずれることで地震が発生します。

昔から周期的に大地震が発生しており、前回の地震から相当年数が経っている地域の方は、地震保険に加入するほうが望ましいでしょう。

例えば東京などは大正12年(1923年)に発生した関東大震災から100年近くが経過しており、その危険性についてはご存知の通りです。

お住まいの地域の過去の記録を確認して、大地震が発生したことはないか、もし発生していたのであればいつ発生したのかを調べてみるとよいでしょう。

日本全国、あちこちで過去に大地震が発生しているはずです。

熊本もそうでした。

熊本では過去の大地震の記録が残されていたのに、その記録や経験を活かすことができなかったと震災の後に報道されていました。

「天災は忘れた頃にやってくる」とはまさにこのことでした。

 

沿海部や河口流域に住んでいる場合

東日本大震災では津波の被害が甚大であったことはご存知の通りです。

テレビの映像で見る限り、津波の猛威の前では人間も構造物も全くの無力です。

熊本地震では津波は発生しませんでした。

地震保険において家屋の被害が「全損」か「半損」か「一部損」かで支払われる保険金の額が大きく異なってきます。

熊本地震では家屋の損壊判定をめぐって様々なトラブルが発生しました。

損壊判定は保険会社が行いますが、その結果次第で保険金額が大きく異なるので、その判定をめぐってトラブルが多発したんです。

私が住む地域でも築3年の我が家は大丈夫でしたが、古い家は倒壊してしまったところもあります。

津波がなければ、家屋の損壊は家の立地や構造で大きく異なります。

しかし、津波が襲ってくればそんなことは関係ありません。

どんなに耐震構造のしっかりした頑丈な家であっても、津波の前では何の役にも立ちません。

ですから、沿海部や河口流域に家がある場合は地震保険に加入しておく方が望ましいでしょう。

東日本大震災の場合は津波が川をさかのぼり、かなり内陸まで達したようですから海岸から10キロ程度の河川に近い所に家があるのなら、なおさら地震保険に加入しておく方が安心でしょう。

熊本地震では家屋の被害が「全損」か「半損」か「一部損」かの判定でトラブルが発生しましたが、津波に襲われた場合はまず間違いなく「全損」になりますので、保険金は最大の範囲で支払われます。

私が不思議に思うのは、地震保険の保険料は都道府県単位で設定されていて、立地環境が考慮されていないことです。

同じ県でも家が海岸沿いにあるのと、高台にあるのとではリスクもかなり違うと思うのですが・・・

 

家屋が古い場合

古い家屋は地震の揺れには弱いです。

というのも、住宅の建築基準法は大地震のたびに見直され、耐震基準は年々厳しくなっており、新しい家屋ほど耐震性に優れているからです。

住宅の建築基準法、耐震基準は1981年(昭和56年)と2000年(平成12年)に大きく見直しが行われています。

ですから、自宅が建った時によって耐震性が大きく違うんです。

時代別に確認します。

2000年(平成12年)6月以降着工の住宅

2000年6月以降着工の住宅であれば2000年(平成12年)の大改正による改善が施された住宅ということになります。

つまり、2000年6月以降着工の住宅であれば、現行法における耐震設計は満たしていることになります。

ですから、耐震性は強い住宅であると言えます。

1981年(昭和56年)6月~2000年(平成12年)5月着工の住宅

1981年6月以降、2000年までに着工した木造戸建て住宅は2000年(平成12年)の大改正による耐震設計の強化が行われていません。

ですから、2000年6月以降に着工した住宅に比べ、耐力壁の配置、柱や筋交いの接合部、基礎などに弱点がある可能性があります。

もし心配であれば1981年(昭和56年)の大改正による「新耐震基準」で建てたからと安心せず、専門家による耐震診断、耐震補強を行ったほうがいいかもしれません。

この時代に建てられは住宅は地震保険に加入した方がよいでしょう。

1981年(昭和56年)5月以前の旧耐震基準の木造戸建て住宅

こちらが問題です。

該当する住宅で最も新しい住宅でも築35年です。(2016年現在)

1981年5月以前に確認申請を取得した木造戸建て住宅の場合、特に耐力壁の量、柱・筋交い等の接合状況、基礎の仕様において耐震性が低い可能性が高く、耐震診断を受け必要であれば耐震補強を行うほうがいいでしょう。

この時代に建てられは住宅はぜひ地震保険に加入した方がよいでしょう。

 

住宅は古いほど耐震性能が弱いんです。

地震保険は家屋の損傷の程度の応じて保険金が支払われます。

同じ揺れでも古い住宅ほど損傷する危険性が高いわけですから、地震保険に加入する必要性も高いと言えます。

当然、熊本地震でも新しい住宅は損傷が少なく、倒壊していた住宅の多くが古い住宅でした。

 

まとめ

地震保険は加入しておくことに越したことはありません。

しかし、その金額は安くはなく経済的負担は大きいです。

加入するかしないかはご自身の判断となりますが、上記「地震保険に加入するほうが望ましいケース」で説明した内容に該当する場合は地震保険に加入した方がよいと思います。

前のページ